御茶ノ雫

三種の神器はポメラ、iPhone、万年筆。

ローラー&クライナーの万年筆インクについて書かざるを得なくなったのは他でもない。古典インクについての記事で「スカビオサ」と「サリックス」が古典インクであることについては述べたが、これらを除く16色が顔料インクであるということをつい先日まで知らなかった。ずっと非古典染料インクだと思いこんでいたのだ。これは誤算だった。大きな誤算だった。

※追記あり
 
顔料インクということは、高い耐水性が期待できる。これまでラミーとペリカンの古典ブルーブラックしか使ってこなかったのは、もちろんああいう色が好きだからというのもあるが、もう一つは水に強いという決定的な理由があった。一度郵便物の宛名書きに染料インクを使ったがために痛い目に遭っているので、どれだけいいなあと思う色があっても、非古典染料インクというだけでパスしていた。

が、ローラー&クライナーは顔料インクである。顔料インクは非水溶性のため、一度定着すれば水に流れることがほとんどない。その意味では、古典インクと同じ感覚で郵便物の宛名などにも安心して使える。

突如として「使えるインク」の候補に上がった今、改めて色見本(*1)を見てみると、ドンピシャで好みを突いてくる色があるではないか。まさに「ライプツィヒブラック」その色である。名前にブラックと付いているが、限りなく黒に近い青ともいえる(*2)。ラミーやペリカンの古典ブルーブラックはおろか、モンブランのミッドナイトブルーよりもさらに黒に近い。ぱっと見ではほとんど黒だが、筆跡の淡いところにグレーがかった青が出る。これがもう何とも言えないくらいかっこよくて、つい欲しくなってしまった。

古典インク、次々に消滅?


ラミーが古典インクの製造から手を引いたことはすでに記事にした。あのときはかなりの衝撃を受け、泣く泣くペリカンのブルーブラックに乗り換えたのであるが、さらに衝撃的なことに、モンブランもミッドナイトブルーが非古典染料化の道を辿るという(*3)。さらに言うと、ペリカンもいずれそうなる可能性があるという。なんだなんだ。いったい、どうしたというのか。珍重されるべき古典インクが、どんどん姿を消していく。必要のないものなら淘汰されても仕方がないが、まだ古典インクを好んで使っている人は少なくない。なくしてしまうのは全く惜しい。俺だってせっかくペリカンに乗り換えたばかりなのに、次に買うボトルが非古典染料になっている可能性もあるということになる。それでは意味がない。使う気がなくなりかけている。

そういうわけでますますライプツィヒブラックへの期待が高まっている。まだ実物を見るには至っていないが、一度この目で色合いを確認したら、できるだけ早期に手に入れたい。もし実際の色がイメージ通りなら、ライプツィヒブラックは俺のものだ。また成分の変更がない限り、ずっと使い続けるだろう。以前まで気になっていたサリックスは、もはやライプツィヒブラックに比べるとゾクゾクしない。

一般に詰まりやすいと言われる顔料インクの怖さは、あまり気にしない。毎日使うことが何よりのメンテナンスになるし、詰まったときの策がないわけではないからだ。アスコルビン酸は古典インクにしか効かないので、顔料インクは専用のクリーナーで掃除する。やや高価だが、頻繁に詰まるわけではないので、維持費としては安いものだろう。

ライプツィヒブラックを買うときは、最後の万年筆と決めたカスタム74も一緒に買う。購入場所は代官山蔦屋書店の予定だ。ただ、モンブランがミッドナイトブルーを非古典化する代わりに新しく顔料インクを出すようなので、その色が絶妙だったらちょっと悩むかもしれない。

ところでローラー&クライナーのインクは、毎年限定色が出る。2011年は「青騎士」、2012年は「ブラウ・シュヴァルツ(ブルーブラックを意味するドイツ語)」が出たことがわかっている。ところが2013年の限定色は、検索しても引っかからない。知る限りでは、蔦屋書店限定の「蔦葉」が出たりしているが、これは別注じゃないかと思う。もしかして、今年は限定色が出なかったのだろうか。ともあれこの蔦葉は、緑縞のスーベレーンに入れるのがドンピシャのようだ。あるいはナガサワオリジナル神戸インク物語の「六甲グリーン」もいいだろう。緑だけでもいろんなインクがあるが、軸の色に合わせてインクを選ぶということができるのも万年筆の楽しいところ。多様な選択肢があるからこそ、個性が際立つ。


ラミーの古典ブルーブラックで描いた絵。

*1
楽天市場 高級万年筆の文栄堂
ローラー&クライナー社 ライティングインク
http://item.rakuten.co.jp/buneido/10004377/

*2
夜の果ての旅
ローラー&クライナー/ライプツィヒアン・ブラック
http://coacervate.jugem.jp/?eid=276

*3
趣味と物欲
Storia Di Un Minuto→2ch万年筆インクスレ→FPNと読んで、モンブランのミッドナイトブルーも古典じゃなくなるとか。
http://d.hatena.ne.jp/pgary/touch/20131021/p1

 
 
 
※追記

「残念だがローラー&クライナーの耐水性は低いらしい」
http://ochanoshizuku.hatenablog.com/entry/2013/11/09/161241
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Comments

ライプツィヒアンブラック

モンブランのレーシンググリーンが廃番になるときに代替として購入したのですが、期待していた暗緑色ではなく、水に濡れたときの色の滲み方にも馴染めなかった(毒芋虫みたいにさまざまな色が滲み出る)ので塩漬けに(苦笑)。
黒ではない黒っぽいインクとしては、面白い色だと思います。

墨田ペトリ堂 #- | URL | 2013/11/03 12:32 * edit *

>墨田ペトリ堂さん

うーん、期待の大きい割には、
なかなか厳しいレビュー多いライプツィヒブラックです。
ただ暗緑色というよりは限りなく黒に近い青を想定していますので、
実際自分の好みに合う色であればいいなあと思います。

御茶咲 #ce.a/pY. | URL | 2013/11/04 12:20 * edit *

こんばんは。
古典派インクが嫌われ者にされているこの状況、本当に残念です。
もはや、プラチナのブルーブラックが最後の砦ですね。

そのプラチナ萬年筆の瓶インク、容量が2倍に増えてインクリザーバーが装備されたまでは良いのですが、価格が3倍に膨れ上がっており、手頃な価格ではなくなってしまいました。

これからは顔料インクで万年筆を使っていきたいと思います。

ヘンリー #- | URL | 2013/11/04 21:58 * edit *

>ヘンリーさん

プラチナの値段が上がるらしいという話は、
ツイッターで耳にしていました。
古典BBならどれでもいいというわけではないので、
ラミーやモンブランの撤退とともに
顔料に流れていく人も多そうですね。
残念です。

御茶咲 #ce.a/pY. | URL | 2013/11/07 12:04 * edit *

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